景色の主役は移り変わる

ヨーロッパの中央に佇む内陸国スイス。水の城と呼ばれるほど水源に恵まれたこの国は、26の独立した州から成り立つ。公用語には、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロマンシュ語、英語が使用され、町では数々の言語が舞い踊る不可思議な様子がみられる。


ここ数日、学生の時に経験したホームステイを思い出す。当時の町では、意識を耳に集中すると時計職人の息づかいや繊細な針の音が聞こえた。登山列車に乗ると、マッターホルンの険しい岩肌、中腹の草原、湖畔に咲く花畑、氷河、滝など自然の多彩な顔と共に、力強い表情も巡ることができた。あのときに感じた表情は、いまでも細部まで浮かび上がる。


トラブルが起きたのか長文のメールが届く。また明日から振り回される日々が始まりそうだ。


地面を一定のリズムで蹴る音がホームに響いた。